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小泉純一郎に学ぶスピーチで大事な5つのこと

『なぜ、あの人の話に耳を傾けてしまうのか?』東 照二

 

 小泉氏の話はなぜ引き込まれるんでしょうか?少し前だと原発反対を訴えて、都知事選の細川氏を支援した時など、ニュースなどで演説を観るとついつい見入ってしまう。

今回ご紹介する本の中に、「小泉氏のスピーチを、つい聞いてしまうのはなぜか」という内容が書かれています。その中から仕事や日常生活の中でも取り入れられそうな5つの方法をご紹介します。

 

①話し手の「本気度」

・スピーチで最も大切なものは、あたりまえといえばあたりまえだが話し手が正真正銘、純粋に本気で語っているかどうかだ。P.54

・小泉の「原発ゼロ」スピーチでは、用意された原稿を読むというスタイルとは正反対、まさに「即興」で、自分の本心を、熱意を込めて語りかけるというスタイルが取られている。P.56

⇒これには納得しますよね。やはり話に熱意がこもっていると伝わってくるし、ついつい聞いてしまう。ニュースでみる企業の会見や政治家の話など、ずっと原稿を読みっぱなしとか、まったく感情がこもってないとかでは伝わってこないわけです。

 

②ポーズのバリエーション

・小泉元首相はとても効果的な見本をみせてくれる。それは、強調したいことばを際立たせるために、また、聞き手の理解度を確認するために、ところどころ、さまざまな長さのポーズを置き、緩急をつけて話すというスタイルである。P.57

・短めのポーズを頻繁に使い、単語を際立たせたかと思うと、長めのポーズを用いて聞き手に何が出てくるのかと思わせる。あるいは、ポーズをまったく入れないで、一気阿成に話す。ここから、緩急、メリハリ、バリエーションをつけるためにポーズがあるのが分かる。P.61

⇒確かに小泉氏の話にはメリハリがあるように思います。だから聞き手の頭にすっと入ってくるんでしょうね。いいたいことを一気に話す癖がある私としては、非常に参考になる方法です。

これは、①の熱意とも関係してくるんでしょうね。大学の講義で単調な口調で何十分も話されると、まったく頭に入りませんし、眠くなってしまったことが多々あります。熱意があると自然と緩急をつけた話ができそうな気がします。

 

③疑問文を使う

・さらに小泉の話し方の特徴として、単純明快な論理、それも疑問形を使い、逆に聞き手に問いかけ、チャレンジし、聞き手に考えさせ、聞き手自身の手で証明させるかのうような話し方をあげることができる。P.64

・私たちは質問されると、注意・意識が瞬間的にその質問に集中することになり、直感的にそれに答えようとするものだ。そして、ごく自然に、話し手の論点に引き込まれていくことになる。P.67

⇒確かに質問されると、反射的に考えてしまいますよね。小泉氏は意図してやっているのではなく自然にやっているような気がします。

 

④物語を語る

フィンランドオンカロ行きましたよ、私。世界で唯一原発から出る、核の、廃棄物を処分する、場所ですよ。まあオンカロというのはフィンランド語で洞窟とか隠れ家とかいろいろあるようですけれども、ともかく、核廃棄物を最終、処分するために、作られた、地下ですよ。それも、フィンランドというのはね、岩盤でできている国ですよ。もう道路を通ると分かりますね。地下掘んなくてもトンネルがもう岩盤ですよ。だから岩盤をくりぬいて道路を作っている。(小泉氏がオンカロを訪問した際の一部始終を語る場面)P.68

・聞き手にとってはまったく初めての、話し手の経験をもとにした物語というのは、何から語り始めるといいのだろうか。その際に不可欠となるのは、物語の舞台と背景をことばで入念に表現していくという作業になる。小泉は、自分一人で突っ走ることなく、聞き手中心に、話し手と共有するようなバックグラウンド知識から語り始める。P.69

⇒本の中には続きが紹介されているが、まさに話を聞いているうちに、小泉が体験したことを疑似体験しているような感覚に陥る。数々の場数を踏んできた小泉氏なら朝飯前かもしれないが、非常に高度なテクニックだと思います。特に、不特定多数の方々に話す場合、物語で順を追って体験を共有していくというやり方は非常に有効だと思われます。

 

⑤「話し手」ではなく「聞き手」が中心のスピーチ

・大雪の中、こんなに大勢、本当にありがとうございます。みんな真っ白い傘。(少し間をおく)いろいろ、色つきの傘も、雪で真っ白になっちゃった。こんな雪の中で街頭演説するの、初めてです。(小泉氏が大雪の中、都知事選挙の応援演説をする場面)P.82

・小泉はまず最初に聞き手の状況を形容する言葉から始めたのだ。1時間以上、降りしきる雪と強風の中で、立ちながらずっと聞いている聴衆たち。その聴衆たちの置かれている物理的状況、心理的状況を察知し、それを聴衆とともに感じ、共有、共感することば。極めて視覚的で感覚的で、日常的なことばだ。このほんの数行の短いことばで、聴衆と話しての心理的距離感が一気にぐっと縮まる。P.83

⇒演説を大雪の中聞いている人たちというのは、もちろん小泉氏を一目見て演説を聞きたいという気持ちがあると思いますが、もし小泉氏の応援する細川氏が都知事になった場合、自分たちの生活や仕事にどのような影響を及ぼすかということを一番聞きたかったのではないかと思います。だから自分たちを気遣ってくれている発言には共感が持てますし、聞いてみようという気持ちになるんだと思います。これは、仕事のプレゼンや会議でも使える方法だと思います。いきなり本題に入るのではなく、そこに出席している方に目を向けた発言などをしてみることで、共感を得て、聞いてもらえる場を作り出した上で、本題に入っていく。

 

 

この本の中には、聞き手に好印象を与えて惹きつけていくスピーチとはどういうものか、ということを題材に小泉純一郎氏の他に石川遼選手のスピーチも紹介されています。他の政治家や選手と比較しながら、両者の良い点を中心に学ぶことができます。日常生活で応用できそうなことが多く、仕事の場面でも役に立ちそうです。

是非読んでみてください!